Amazon Alexaにも対応予定――日本のスタートアップ、ネインが開発する“



 今回は日本のベンチャー企業、ネインが販売しているスマートイヤフォン「APlay」シリーズをピックアップしよう。なんでもいま“完全ワイヤレス”のスマートイヤフォンも開発中なのだとか。ネインのファウンダー兼CEOである山本健太郎氏を直撃した。

ネインが開発を進めるBluetoothイヤフォン「APlay Pulse」

 ネインは2014年に設立されたばかりの若き日本のスタートアップ企業だ。スマートイヤフォン「APlay NA1」は同社にとって初のプロダクト。見た感じ普通のBluetoothイヤフォンにみえるが、ペアリングしたスマホを起動する代わりに、声やボタンによる操作でLINEやメールに返信ができる機能を特徴としている。

 2016年にMakuakeのクラウドファンディングプラットフォームで開発資金を募り、プロジェクトを成功させて商品化。第1弾モデルに続いて、UQコミュニケーションズとのコラボによる一段とコンパクトで軽量な「APlay NA1L」も発売した。NA1で獲得した男性ビジネスマンから、よりカジュアルにLINEなどSNSを楽しむ女性層にもユーザーの裾野を広げている。

 ネインは、パイオニアで海外向けのカーナビゲーションシステムの商品企画を担当していた山本氏が、同社のソフトウェア開発担当者とともに立ち上げた企業だ。スマートイヤフォンAPlayシリーズの心臓部は、実はスマホアプリであり、独創的なアプリを開発できるソフトウェアエンジニアリングの力がネインの原動力である。

 ネインのAPlayシリーズは“ヒアラブル”というコンセプトを掲げているスマートプロダクトだ。聴覚を活用する「Hear」と、身につける「Wearable」を足したヒアラブルという言葉は特にネインが産み落としたものではなく、イヤフォンやヘッドセットタイプのヒアラブルデバイスを開発するライバルは既にいくつもある。ネインはこの言葉のコンセプトをどう捉えているのだろうか。

 「いまは多くの人々が日常生活でスマホを使うようになりました。スマホが誕生して以来、ディスプレイを手で操作するというインタフェースには今日まで大きな変化がなく、スマホを使えば使うほど、じっと画面を見つめながら過ごす時間が長くなっています。スマホの画面に縛られることなく、もっと自由なコミュニケーションのスタイルを提案したいと考えて、ネインでは最初にスマートウォッチのアプリ開発に着手しました」(山本氏)

 こうして最初はスマートウォッチ向けのアプリから開発を進めてみたが、長袖のシャツやコートを着た状態ではかえって画面が見づらくなって不便に感じられたことから、現在の「音」を活用してスマホによるコミュニケーションをサポートしていくというアイデアにネインは辿り着いた。

 実は筆者もAPlayが発売されてすぐにMakuakeで購入してみた。Androidスマホに「APlay」アプリを入れておくと、朝スマホを起動したときにアプリの通知やカレンダーの予定、天気、ニュースなどをイヤフォンが読み上げてくれる。送られてきたLINEやメールに対して、APlayのリモコンのボタンと音声入力を使って簡単な返信も送れるので便利だ。なおiOS向けのAPlayアプリは現在開発中だ。

 日本語音声による読み上げはHOYAサービスの高音質な音声合成エンジン「VoiceText」を採用しているので、とても自然に聞き取れる。通知の読み上げもAndroid 5.0以降の全アプリから任意に選べるので使い勝手の幅が広い。実際に使ってみると、日本語とアルファベットが混在するLINEの文書などもスムーズに発音できるうえ、読み上げスピードも最速1.4倍の早回しから、0.8倍の減速再生も選べる。

 音声認識によるSNSサービスやメールの返信も、リモコンボタンを組み合わせた操作によりスムーズに行える。Google Nowサービスにも対応しているので、音声コマンドによってカレンダーや天気などの情報はチェックが可能。APlayを使いこなせるようになると、確かにスマホをポケットから取り出して画面を点灯する機会が徐々に減ってくる実感がある。

 ちなみにイヤフォンとしての音質も悪くない。バランスがニュートラルで解像感が高く、特に中高域の抜け味が冴えている。通話の声が聴き取りやすいようにチューニングされているためか、ボーカル系の楽曲は歌い手の声がクリアに映えて相性が良いと感じる。Bluetoothの高音質コーデックであるaptXにも対応しているところがネインの音に対するこだわりであると山本氏が胸を張る。

●完全ワイヤレスの「APlay Pulse」も見せてもらった

 ネインではいま、このAPlayシリーズに完全ワイヤレスタイプのBluetoothイヤフォン「APlay Pulse」を新しいラインアップとして加えるため開発を進めている。3月下旬にアメリカで開催された世界最大級のマルチメディアの展示会「SXSW 2017」(サウスバイサウスウエスト)に出展ししたネインがブースで披露したモックアップを見せてもらいながら、本機をどんな製品として仕上げていくのか、山本氏の構想を訊ねた。

 外観はとてもコンパクトな円筒形のケースに片耳タイプのカナル型イヤフォンが格納されている。使い方の基本は今のAPlayシリーズと同じで、スマホとBluetoothによりペアリングして「APlayアプリ」の様々な機能と連動することになりそうだ、本機の開発と平行して、新たに「ボイスチャット」のような機能の追加も計画されているのだという。「APlayのユーザー同士が互いに音声メモを残してコミュニケーションできる機能を付けたいと思っています」と語る山本氏は、スマホによるテキスト打ちの手間をなるべく軽減できるようなボイスコミュニケーションのインタフェースを頭の中に描いている。

 もう1つの特徴としてアマゾンの音声認識エンジン「Alexa」を搭載する計画もある。使い方のイメージは、ヘッドフォンのハウジングに設けたボタンを2度押しするとAlexaが起動して、ペアリングしたスマホアプリを経由してクラウドにつながり、スマート家電などの操作が音声によるインタフェースを活用してスマホフリーで行えるというものだ。日本ではまだAmazon Alexaの上陸予定などが見えていないが、欧米ではAlexaのエンジンを積んだ「Echo」や他社製品も含めたワイヤレススピーカー、車向けのインフォテインメントシステムなどの開発も活発化している。「Alexa対応のワイヤレスイヤフォン」が実現すれば多くの引き合いがありそうだ。

 また片耳タイプだけでなく、両耳タイプの「APlay Pulse」も山本氏の視野に入っている。「ただ、その場合はやはり基本的にはスマホによるコミュニケーションをサポートするデバイスにしたいので、周囲の音を遮断しない工夫も必要になると考えています。外音を取り込むためにはオープンエアタイプのハウジングを採用することも1つ有効な解決策かもしれないですね。両耳対応とした場合はイヤーピース同士の通信を安定させるための作り込みも大事になってくると思います」

 山本氏は、いま芽吹き始めている「ヒアラブル」というインタフェースの形を洗練させていくことで、本来便利なものであるべきスマート家電が、操作が複雑になってしまったことによって生まれているデジタルデバイドを解消する糸口にしたいと語っている。そして声によるインタフェースを成熟させていくことで、例えば車の中でのハンズフリー操作も新しい提案ができるだろうと期待を寄せる。

 「スタートアップのアドバンテージは、ユーザーの声に間近な距離で触れることができ、製品開発に素速く反映できることです。今後もスピード感を大事にしながら魅力的な製品を形にしたい」という山本氏。「APlay Pulse」の開発がクラウドファンディングも含めてどのような形で進められるのかなど、今後の展開が待ち遠しい限りだ。

引用:Amazon Alexaにも対応予定――日本のスタートアップ、ネインが開発する“スマートイヤフォン”とは?


コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

PR

このページの先頭へ

×